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「お山の教室」第41回 『賢いメシの炊き方とシャリバテ防止学』

開催月日:2015/11/30(月)13:30~16:00
講師:大和田良一さん(新ハイキングクラブ電脳支部支部長 麻酔科医)
場所:板橋区ハイライフプラザ
参加者:27名

 

主な内容

山でコメを炊くのは難しい、という認識があるのかないのか、山での自炊は簡単に済ませている方が多いのが実態でしょう。限られた量の水で、低い気圧の中、いかによりおいしく炊飯するか、試行錯誤を繰り返して得られたノウハウを、講師の大和田さんは惜しげもなく披露してくださいました。
①山の上、という悪条件の中、メシをより旨く炊くにはどうするか。そのテクニックとは?
②運動中の消費カロリーと「登山」という運動の特性について。
③登山行動中のより効率的なエネルギー補給の方法について。
以上の内容で、終わってみればタイトル通り、ノウハウと理論が合致した素晴らしい講義となりました。

 

レポート

日本における麻酔科開業医の草分けの一人として、後進を力強くリードされている大和田さんは、新ハイにおいては電脳支部を立ち上げ、率先して山行を企画されるエネルギッシュな山行リーダーでもあります。
ユーモアたっぷりの語り口で、まずはメシ炊きの話から。
普通にコメを炊くのは、「炊干法」というそうですが、これは考えてみれば炊き上がる時点で水がなくなるように水加減と火加減のバランスをとりながら調節していく作業ですからそう簡単ではありません。まして、山ではこびりつき、焦げてしまった鍋はそうそう洗えません。
そこで取り出したのが「不思議なめし袋」。実際には、市販されているだしパック用の袋などを利用するそうですが、コメを水で煮てしまうという「湯取法」のやり方が伝授されました。袋に応じた量のコメを見極め、煮ることで貴重な水も無駄にならず、鍋も汚れない!という正に山向きのテクニックです。
いずれにしても、「コメが柔らかく食べられる状態になり、コメのデンプンがアルファ化」すれば、炊飯は成功したわけで、その手段として湯取法だけでなく、湯煎、内鍋炊干法、ダシ袋炊干法なども紹介されました。
それらの一つ一つから、講師の工夫と、それを楽しむ姿勢が伝わってきて幸せな気分になりました。

シャリバテ防止の内容では、「山では食事も大切な技術」という言葉がまず出されました。記憶に新しいトムラウシでの遭難事故からも、「食事=体内での発熱=低体温症防止」という考え方の大切さに納得し、そのためにはいかに効率よくエネルギー摂取するかの方法を教えていただきました。心拍数を手掛かりに、自分の年齢に応じたターゲットゾーンを設定し、その運動強度を意識することで疲労の蓄積を最小限にし、なおかつ脂肪燃焼によるダイエット効果も期待する、というのは多くの方が実行されていると思います。でもそこから一歩踏み込んで、登山という運動強度の時、自分の体重をベースに、単位時間あたりどれくらいのエネルギー補給をどういう方法ですることが(ダイエット効果も含めた上記目標を達成するために)望ましいのか、という具体策が示され、それが一番の参考になりました。
「山に登って帰ってくると体重が増えている…」という情けない状況から脱するためにも、賢いコメの炊き方と併せて実践しようという思いにさせてくれた、とても刺激的で勉強になる2時間でした。
講師の大和田良一さん、ありがとうございました。

世話人 湯沢  宏

なお、今回の講座を基にした実践山行を次のように計画しています。
『お山の教室実践山行 奥多摩・御前山』
期日:2016年2月7日(日)日帰り
集合:奥多摩駅8時30分
内容:避難小屋で実際にメシを炊いて昼食にします。
※詳しくは「新ハイキング」2月号をご覧ください。

資料

 

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